腰椎分離症(ようついぶんりしょう)・すべり症
みなさんは腰椎分離症・すべり症という病気を聞いたことがありますか?これは数ある腰痛の原因の一つです。
【分離症】
椎弓が上関節突起と下関節突起の間で分離した状態のものをいいます。小学校高学年から中高校時代(10~15才)に激しいスポーツをしていた男性に多く見られ、先天性の素因のあるところへ、激しいスポーツを続けたことが引き金を引くかたちで、発症する疲労骨折と考えられています。その他には高所から飛び降りたり、激しく腰をぶつけた時に起こる外傷性のものもあります。
【すべり症】
椎体が前方(腹側)または後方(背側)にずれ、不安定な状態をいいます。まず分離症(前述)に伴い、それが成人になるに従って徐々にずれていくものや、また30代後半からの女性に多く見られるもので、分離しないでずれるものなどがあります。
これらの症状としての特徴は、安静時の激しい痛みは少なく、スポーツや仕事により痛みが増強します。その痛みは決して激しいものではなく、重いとかだるい痛みといった、いわゆる鈍痛が多く、まれに足の方へ痛みやシビレがでる場合もあります。
次に治療法は、急性時には安静が第一です。まず運動を休止し、腰への負担を減らすためにコルセットを装着してもらいます。そして鍼灸治療や電気治療により筋肉の緊張をほぐします。その後症状が落ち着けば、徐々に腹・背筋運動(筋力アップ)やマッサージを無理なく始めていきます。その後痛みがなくなっても、再発防止のために日常生活での姿勢や動作に気をつける必要があり、普段から適度な運動(腰・殿部のストレッチングなど)をすることをお勧めします。基本的には保存的療法(手術をしない方法)が主になりますが、何度も再発を繰り返す場合には、最終的に手術という手段もあります。