膝の靭帯(じんたい)損傷
膝関節は、スキー、柔道、ラグビーといったスポーツの際によく傷める関節ですが、その中でも膝の靭帯損傷は比較的多い外傷の1つです。
もともと大腿骨と脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)そして、膝蓋骨(しつがいこつ)からなる膝関節は、外力を受けやすいわりに不安定な構造なため、これを支える為に4つの大きな靭帯があります。この靭帯は(1)外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)(2)内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)(3)前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)(4)後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)で、(1)(2)は横方向の安定性を、(3)(4)は前後方向の安定性を保つ働きを持っています。スポーツや事故、労働災害によってこれらの靱帯を傷めると、膝の激しい痛みと腫れ、そして関節の運動制限と不安定感が出現し、歩行や階段の登り降りに支障をきたすようになります。
治療は靱帯の損傷の程度や合併症の有無、年齢等により異なります。捻挫(ねんざ)や靱帯の損傷の程度の軽いものなら、4~6週間の免荷(めんか)包帯により治りますが、靭帯が完全に断裂したもの、特に複数の靱帯が切れているときには手術が必要となることもあります。痛み軽減後も、正常な関節の動きと、筋力を取り戻すための運動療法が必要となります。さらにスポーツや仕事で負担のかかる方には、運動療法を指導、実践することもあります。運動療法を合わせますと治療期間は長くなりますが、放置するとスポーツや労働に障害を残しやすいので、焦らず治療していきましょう。