腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
近年マラソン・サッカー・バレー・野球など、スポーツ愛好家が増えると共にスポーツ障害による痛みは、スポーツ人口に比例して増加しています。その1つに腸脛靭帯炎があります。腸脛靭帯は、ふとももの外側を通る強靭な靭帯(じんたい)で脛骨(けいこつ)の外側に停止します。そのため、膝の屈伸の頻度が高いと摩擦により、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆(がいそくじょうか)の骨膜の直接的刺激、あるいは、その間にある滑液包(かつえきほう)に炎症を起こし、大腿骨外側上顆の上2~3センチの所に運動中及び後に痛みを訴えます。摩擦の原因としては、過度の屈伸動作の他に、腸脛靭帯の硬さ、走行距離の増加やスピードの急激な増加、ストレッチングの不足、休養の不足など練習内容によるものや、舗装路ばかりのランニング、同じ方向ばかり走るトラックトレーニング、アップダウンの多い舗装路でのトレーニングなど走る道が悪い場合や,O脚や踵部(かかと)の摩擦しすぎたシューズによる過回内足(そとがえしになりすぎ)などの原因が挙げられます。
症状としては、安静時の痛みはないが、膝の屈伸時にふともも外側の痛みの出現のほか、階段降下時や走行時に地面へ足底が接地し体重が負荷され疼痛は増強し、これらの動作で障害が生じます。
治療としては、局所の安静、過剰な負荷の除去のため、痛みが消失するまで練習量を減らすか休止し、ストレッチングやマッサージ、電気療法・温熱療法・ハリ治療など物理療法を行ない、痛みの軽減と腸脛靭帯の柔軟性の獲得を目指します。O脚及びシューズによるものは足底板(そくていばん)などの装具療法などで治療していきます。治療期間中も筋力の衰えを防止するための水泳や上半身のスクワット・持久力のトレーニングも有効です。