踵骨(しょうこつ)骨折
踵骨というのは[図-1]の部分の骨で、二足起立、歩行の時にはこの狭い部分で全体重を支え、重心を一定に保つ重要な骨です。また、踵骨は大変重要な骨にもかかわらず、この骨は素焼きの焼き物のようなもので、いったん壊れると、なかなか元通りになりにくい性質をもっています。踵骨骨折は、30~50歳の大工・左官・とび職など、高所で作業する人に多くみられ、高所からの墜落、飛び降り、または階段からの転落、交通事故等によって起こることが多いといわれています。
骨折の症状は、激しい痛みのためにたつことや、歩くことが出来なかったり、くるぶしの下の方が、ひどくはれたり、皮下出血のため赤紫色になったりしますが、このような症状は数ヶ月である程度おさまります。しかし、踵の上には距骨(きょこつ)という骨があり、この間で距踵関節(きょしゅうかんせつ)という関節をつくっています。この関節はデコボコ道等を歩くときに重要な働きを果たしているため、骨折がこの関節まで及ぶと、歩くときにいつまでも不快な感覚を残すこととなります。
次に治療ですが、この骨折は骨折の仕方、程度によって治療法が変わってきます。比較的軽い場合は徒手整復の後にギブス固定を行い、その後運動療法を行なっていきます。しかし、程度のひどい場合等は、手術療法を必要とすることもあります。それでも踵の痛みが続く場合は、踵への負担を軽くするための足底板(そくていばん)等の装具療法がありますので、あせらず治療していきましょう。