上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)
肩が痛む様々な病気の中に、上腕二頭筋長頭腱炎という病気があります。上腕二頭筋という筋肉は、腕の力こぶをつくる筋肉で、この筋肉は、途中から長頭腱と短頭腱のふたまたに分かれている為、二頭筋という名がついています。上腕二頭筋は、肩甲骨から起こって前腕の骨に付着していますが、長頭腱は途中で、上腕骨の結節間溝(けっせつかんこう)という溝にはまりこみその上を靭帯(じんたい)が被って、ちょうどトンネルの中を通るようなかたちになっています。ここで長頭腱は約90度方向転換をしており、その為に結節間溝部で摩擦等の刺激が加わり、炎症が起きやすくなっています。この部分で炎症が起こっている疾患を上腕二頭筋長頭腱炎といいます。
この病気は、20才代から40才代の男性に多く、軽微な外傷やスポーツ等の繰返しのストレスで引き起こされます。
症状としては、腕を外側から挙げるときや、外側にねじるとき、或は肘を曲げるときや、物を持って腕を挙上するときの運動痛と結節間溝部の圧痛が特徴です。又、診断の際には、肘を曲げて前腕を外側にねじるときに抵抗を加えると痛みが増強するかどうかをみるヤーガソンテストや、肘を伸ばしたまま腕を前に挙げていくときに抵抗を加え、痛みの増強感をみるスピードテスト等、各種のテスト法を行って上腕二頭筋長頭腱炎かどうかを確かめます。
治療法は、局所の安静と、温熱や低周波による理学療法また、ハリ治療、マッサージがあります。ほとんどの場合これで治りますので心配ありませんが、腱が癒着しているなどの重症例では稀に手術する場合もあります。