偏平足(へんぺいそく)について
人は他の動物に比べ、二本足で行動するという独自の機能をもちます。その為、足は全体重を支え、かつ歩行、運動の際には大きな衝撃を受けることになります。足はこの衝撃に対し、内側、外側、横の三つの弓状の構造を持つことで衝撃力を分散し、一定の部位に大きな負担がかかるのを防いでいます。種々の原因により、この弓状構造が低下したものを偏平足といい、足部の痛み、不快感、疲れ易さなどの症状をひき起こしたり、外反母趾や他の疾患の誘因となります。
原因は①先天性 ②筋肉や靭帯(じんたい)が弱くなるためにおこる(静力学的) ③外傷性 ④麻痺(まひ)性に分けられますが、最も一般的な偏平足は②の原因によるものです。これは更に年齢により、幼児期偏平足、青年期偏平足、成人期偏平足に区別されます。幼児期偏平足は筋肉や靭帯がまだしっかりしていない時期に、無理に立たせたりすると足は体重を支え切れず偏平足となります。青年期偏平足は筋肉や靭帯が弱い人がスポーツや肉体労働を始めた時など、生活環境が変った時におこります。成人期偏平足は青年期偏平足をそのままにしておいた結果なるものの他に、高齢化と共に筋肉や靭帯が弱くなり、体重を支えきれずに偏平足となるものがあります。
治療は基本的に、偏平足であっても痛みなど症状がない場合は放置しておいてよく、症状があるものに対して行います。幼児期偏平足では筋力をつける体操が主体となりますが、歩行するようになるとともに筋力がつき、5才ごろには正常となるので心配はいりません、青年期、成人期偏平足は筋力強化と足底板を用いた治療が主体となります。いずれにせよ、手術対象となるものは稀ですので安心して治療を続けてください。