動揺性肩関節症(どうようせいかたかんせつしょう)
肩関節は、体の関節の中で最も動きが広いがその反面、安定性に乏しく外傷の受けやすい所でもあります。動揺性肩関節症は、肩関節脱臼(だっきゅう)のように一定方向に不安定を生じるものではなく、あらゆる方向にゆるい不安定な肩を示し、バレー・水泳・野球など肩関節に強くストレスのかかるスポーツや10代~20代の若い女性にも多く見られます。
原因としては、
- 外傷性によるもの
- スポーツなど過度の使用による筋、腱(けん)及び靭帯(じんたい)の弛緩
- 肩関節脱臼による関節包や靭帯の損傷
- 習慣性肩関節脱臼による不安定性
- 外傷性以外のもの
- 肩甲骨関節窩(けんこうこつかんせつか)が浅いもの
- 筋力の弱い人
- 肩甲骨関節窩の傾きや上腕骨骨頭(じょうわんこうこっとう)の骨構造の不適合
- 肩甲骨関節唇(けんこうこつかんせつしん)の形成不全
- 筋・神経の麻痺性によるもの
症状としては、肩関節前面(烏口突起(うこうとっき)、烏口上腕靭帯(うこうじょうわんじんたい)、結節間溝(けっせつかんこう))の圧痛、脱力感(だるさ)肩関節周囲の痛みや炎症があり、スポーツ選手ではスポーツ後の脱力感など軽度のものから、安静時にでも脱力感を中心とする痛み、又は不安定性や肩関節の運動制限など重度のものまであります。また、重量物を持ったり、腕を下方に引くと三角筋のところが扁平や陥凹して見えます。
治療としては、理学療法、ハリ治療、マッサージ、薬などやスポーツなどでは練習量を減らすか、安静にすることによって脱力感や痛みは軽減されます。しかし、それだけでは治療の半分にもなっていません。一番大切なのは、肩関節周囲の筋力強化なのです。特に、外転・外旋筋(がいてん・がいせんきん)といわれる、腕を横に上げたり、腕を開く運動をする筋肉を集中して鍛えることです。筋肉を鍛えることにより今まで以上に安心してスポーツや日常生活が楽しく過ごせます。