変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
長時間歩いた後などに、太ももの付け根が痛いとか、だるいという感じを覚えた事はないでしょうか?また、あぐらをかきにくいとか、和式便所をまたぐのが辛いといった事はないでしょうか?これらは変形性股関節症の初期症状の1つです。この変形性股関節症とは股関節が、長年の使用や骨折や脱臼、特に幼児期の脱臼の後遺症等で変形してくる事により、様々な症状を出す疾患です。
この変形性股関節症による痛みや、だるさといった症状は、時として、腰、膝、太もも等に出てくる事が有り、腰痛や坐骨(ざこつ)神経痛、または筋肉痛や股関節症などと間違われやすい疾患です。腰痛や坐骨神経痛の診察の際に股関節の動きや痛みを調べるのはこの理由からです。
では、この股関節とはいったいどの様な構造と働きをしているのでしょう。股関節は、骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)と大腿骨(だいたいこつ)と呼ばれる人体で最も太く長い骨の間にある関節で、ボールの様にまるい大腿骨の頭を、臼の様にくぼんだ寛骨臼がつつんでいます、さらにこの周囲を太くて強い筋肉が覆っています。この関節は、大変大きく複雑な動きが出来るとともに上半身の体重を支え、歩行やその他の運動の際に大変重要な働きをします。このため、この関節に障害が起こると歩行や立ち座りといった日常の生活動作に支障を来します。
股関節の変形がきつくなると、「痛くて歩けない、立ち座りができない、横になって休んでいても痛い」といった症状がつよくなり、日常生活が大変困難となってきます。この様な場合には、人工関節等を用いた手術が必要となりますが、症状の軽い人や、変形が少なく進行が見られない場合、電気治療、温熱療法、ハリ治療、マッサージといった保存的治療により、痛みを和らげ、快適な生活を送っていただけます。また装具療法など効果があります。さらに積極的な治療として、運動療法がありますが、これは、股関節の痛みが強くなったり、動きが悪くなると、お尻や、太ももの筋肉がしだいに痩せて弱くなってきますので、筋力トレーニングで、この股関節の周囲の筋肉を強化することによって、関節を保護し、痛みを和らげる方法です。なお治療は、長期日数を要することがありますが、あきらめずに頑張りましょう。