子供の骨折について
子供の骨には大人と異なる特有の機能、形態があります。例えば、①弾力性に富む。②成長する部分が存在する(骨端軟骨)。③骨の膜が丈夫である。等の理由から、骨折においても大人の骨折とは全く別のものと考えねばなりません。したがって、子供は、たんに大人を小型にしたものではないのです。
近年、子供は家の中で遊んだり、塾で勉強したりして、スポーツなどで体を動かす機会が少なくなってきました。また好物しか口にしないため、骨を強くするカルシウムが十分に補給できない等のデータもあるように、子供の骨折は生活環境と密接な関係にあるといえます。
さて、子供達は様々な場面で骨折し医療機関に運ばれてきますが、治療は原則として特殊な例を除き、保存的(手術せずに治す方法)に行います。その方法として、折れた骨を正常な位置に戻す整復。その整復位を保持したまま、一定期間固定し、骨がつくのを待ちます。軽症の時は整復を必要とせず、固定するだけで治る場合もあります。固定についても、やはり骨折した部分、程度により、期間、材料(ギプス)が異なります。
子供の骨折は大人の骨折に比べ、骨の再生力が旺盛で、多少の変形を残して骨がくっついても成長の過程において自然修復される等、治療上有利な特性を持ちます。また、固定をとった後のリハビリも関節が柔軟なためあまり必要ではなく、日常生活で動かすことがリハビリとなります。