小児の成長痛
小児の成長痛とは、3才から10才までの子供にみられる病気です。
私たちの外来へ毎週といってよいほど、下肢が痛いということで母親に連れられてくる子供がいます。多くは「夜間に突然、膝とか足が痛いと泣き出すのですが、どこか悪いところはないのでしょうか?」と心配しての来院です。診療をしてみますと、びっこはなく普通に歩きます。足の長さも左右差はなく、皮膚の感覚も普通で、神経の麻痺(まひ)も見当たらず元気にしていることがほとんどです。念のため、レントゲンをとってもらいますが、何の異常も見当たりません。これらの場合たいていは、「いわゆる成長痛ですね」とお母さんに答えます。しかし、重大な病気を見逃さぬように、痛みが長く続き本当にびっこをひいておれば、すぐに来院するようにとお母さんに伝えておきます。
成長痛という病名は古くからよく用いられてきましたが、最近「成長に伴う下肢の痛みというものが起きるのだろうか?」という意見が多いようです。といのは、下肢の痛みを訴える子供の多くは、神経質な子供であったり、一人っ子、長男、祖父母と同居しているというような特徴をもっていることが多いことから、むしろ心の不安・不満などの精神状態が不安定なときに身体的な痛みとして表現される身体反応ではないかと考えられてきています。
子供さんの多くは、この成長痛であるようです。しかし、なかには非常に重大な病気(例えば骨腫瘍、骨折、捻挫、骨髄炎など)である場合がありますので、下肢が痛いと訴えた場合、かんたんに考えず医療機関で診てもらうことが重要だと思われます。