小児の肘(ひじ)関節周囲の骨折
肘関節は、転倒や高所より転落して手や肘をついたり、スポーツなどで強い外力など直接的、間接的に外傷をうけることがあります。小児の肘関節周囲の骨折として特徴的なことは、自己で骨が良くなろうとする力が旺盛です。また、小児では骨の成長段階で外力に対して弱い骨軟骨(こつなんこつ)という部分を多く含んでいます。
上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
5~12才の男子に多く、転倒や高所よりの転落時に肘を伸ばした状態で手をついて肘関節の少し上の部分で骨が折れます。小児では、最も頻度が高い骨折です。
症状
肘関節周囲に腫れと痛みがあり、肘関節部が後方に突き出した特有の変形や、肘を軽く曲げた状態で運動制限があります。肘周囲は骨軟骨部が多く、肘関節の変形による屈曲制限など機能的・血行障害・神経障害が起こりやすく治療の難しい骨折です。
上腕骨外顆骨折(じょうわんこつがいかこっせつ)
5~10才の男子に多く、肘を伸ばした状態で手をついて倒れ、外側にストレスが加わり骨が折れます。
症状
外側部に、腫れと運動痛があります。形態的・機能的障害が残らない限り、予後は良好ですが慎重に治療する必要があります。
治療
基本的には手術をしない治療法とし、ギプス固定があり、固定期間・固定法は骨折の部位・年齢によって異なります。固定中は、肩・手などの拘縮や筋力低下を防ぐリハビリを行います。