年をとるとなぜ背中が曲がるのでしょう?
ホ乳類の背中には背骨(脊椎)が存在します。この背骨は、身体を支える柱の役目や、脳につながる太くて重要な神経を守る働きがあります。人間は四本足の動物と違い二本の足で歩くため、重い頭と腕を背骨で支えなくてはなりません。この為、人間の背骨は独自の発達をとげ、軽いS字状の形をとるようになりました。このS字状の弯曲(わんきょく)は、頚(くび)、背中、腰の三箇所からなっています。このS字状の弯曲は、自動車のサスペンションの様な役割を持ち、歩行の際足から受ける衝撃を脳に直接伝えないようにしているのです。しかし、この弯曲は、高齢になるに従ってきつくなり、特に頚や腰のきつい弯曲は肩こりや腰痛の原因となります。では、なぜ高齢になるとこの弯曲がきつくなるのでしょう。背骨は頚にある七個の頚椎と、背中にある十二個の胸椎と、腰にある五個の腰椎が積み重なってできています。このそれぞれの背骨は筋肉や靭帯により支えられていますが、高齢になるとこの背骨を支える筋肉などが衰えるため、頭や腕の重さに耐えられなくなった背骨はバランスを崩し、弯曲は徐々にきつくなっていきます。さらに骨粗鬆症(こつそしょうしょう)等により背骨が弱くなったり、圧迫(あっぱく)骨折を起こすことにより一層その傾向は強くなり、見かけ上背中がまるく背が低くなったように見えます。軽いものは生理的な変化ですから心配はありませんが、きつくなると肺や胃腸といった内臓が圧迫されることがありますので注意が必要です。
予防法としては適度な運動と、カルシウムを多く含んだ食事をとることを、日ごろから心がける事がよいと思われます。