頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)
頚(くび)から肩、腕、指にかけての痛みやしびれを訴えて来院される患者さんは、人口の高齢化もあって近年増加しています。又、お年寄りばかりではなく運動不足のせいか、若い方が結構多いのにも驚かされます。
頚肩腕症候群【広義の頚肩腕症候群】とは、このような頚から肩、腕、指にかけての痛みやしびれを総称していうのですが、その病態は実に多彩で下記のように
- 頚の骨が加齢により変形し神経を圧迫するもの
・・・・頚椎症性神経根炎(けいついしょうせいしんけいこんえん)
- 頚にある椎間板が神経を圧迫するもの
・・・・頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばん)
- 頚の骨のなかにある靭帯が変化して神経を圧迫するもの
・・・・後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)
- 肩の付近の筋肉や骨により神経、血管を圧迫するもの
・・・・胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
- 肘や手首で神経が絞扼されて起こるもの
・・・・末梢神経絞扼症候群(まっしょうしんけいこうやくしょうこうぐん)
などと様々です。しかし、病態がはっきりしている場合はそれぞれの病態が診断名として使われるため実際には病態がはっきりしない場合に頚肩腕症候群【狭義の頚肩腕症候群】という診断名が使用されています。
以上の様に広義の頚肩腕症候群の患者は、非常に多種多様であるためそれらを正確に診断し、頚(くび)の牽引(けんいん)、電気治療、固定、マッサージ、ハリ治療など多くの治療方法の中から、的確な治療に直結させることは必ずしも容易なことではありませんが、症状が少しでも軽減するように治療方針をたてていますので、相談しながら治療を行っていきましょう。