鵞足炎(がそくえん)
スポーツ活動は肉体や精神を鍛える方法として、近年広く生活に取り入れられていますが、間違った練習方法や過度の練習量により、さまざまな障害を起こすことも少なくありません。その中のひとつに膝の内側部に痛みを生じる「鵞足炎」という症状があります。鵞足とは膝を曲げる作用のある縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はっきん)、半腱様筋(はんけんようきん)という3つの筋肉の腱が付着している膝の内側の部分をいい、この部は腱が扇状に広がり鵞鳥(がちょう)の足の形に似ていることから、このような名前で呼ばれています。
この鵞足炎は鵞足そのものが膝関節の屈伸やひねりを繰り返すような動作で、摩擦を受け腱周囲に炎症を起こしたもので、膝関節の屈伸に伴い、この部を圧迫すると痛みが増強し、陸上競技、サッカー、ランニングなどに多く見られます。
治療としては、電気治療、温熱療法、ハリ治療、マッサージや、運動量を減らしストレッチングを行ったり、運動終了後にアイスマッサージをするのが効果的ですが、痛みが長期間改善されず、治るまで数ヶ月要することも少なくありません。また、この病気は股関節、膝関節、足関節の形態異常が炎症を引き起こすきっかけになる場合もあり、他の病気との鑑別が困難な場合もありますので、患者自身が勝手な判断をせず、専門家の指示をうけ治療を行ってください。